名店が語る「いいたて雪っ娘のここに惚れた!」 − その1・代々木上原「初代割烹高橋」 −

料理人が語る「いいたて雪っ娘のここに惚れた!」

「自分以外の料理人の方が、このかぼちゃをどう感じるか? それを知りたいんです」

いいたて雪っ娘アンバサダーの猿渡浩之さんが持つ想いに触れて、私達も様々なジャンルの料理人が雪っ娘をどう使い、どういった長所や個性を感じるのか知りたくなりました。

そこで、猿渡さんが雪っ娘と共に腕利きの料理人を訪問。インスピレーションと経験を元に作られる一皿を通じて姿を現す、雪っ娘の魅力をご紹介します。

【参加者プロフィール】
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■高橋豊和
広島県東広島市出身。幼少期より料理人を目指し、高校卒業後に広島全日空ホテル日本料理『雲海』、日本橋三越本店『なだ万』にて日本料理を学ぶ。自分の名前にちなんだ2012年10月4日(トヨの日)に、代々木上原に『初代割烹高橋』を開業。「美味しい和食であなたに明日の笑顔を」をコンセプトに、出身地である広島の食材を中心とした本格的な日本料理を提供している。
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■猿渡浩之
大阪辻調理師専門学校を卒業後、都内ホテル等を経て会員制高級薬膳レストランの総料理長に就任。その後、本来の食の楽しみを模索・追求すべく、築地市場内の食堂を経て1997年に独立。現在は、完全予約制の料理店「田園調布 廣田」、完全予約制の宅配弁当店「廣田 真之坊」を経営。「ぜいたくな食材を無理なく楽しむ」「身近な食材で驚くほどの豪華さを作り上げる」といったテーマに基づくお任せスタイルの料理が、多くのファンを魅了。信念を曲げず真摯に食材に向き合う姿勢が、現役の料理人からの支持も高い「シェフの中のシェフ」。
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【「かぼちゃ」は私の近しき野菜なんです】

−−まず、高橋さんにとって「かぼちゃ」とはどういった存在かを、お聞かせください。

高橋:両親の実家が米農家だったので、親父も家庭菜園でかぼちゃを作っていて、割と近しい存在ですね。最初、とれたてを食べたら全然おいしくなかったんですが、『寝かせないとおいしくならないんだよ』って言われて、熟成させたかぼちゃを食べた時の甘さが印象的でした。

−−昔からかぼちゃをはじめとした野菜全般に、特別な思い入れがありましたか?

高橋:畑ではかぼちゃの他にも、キュウリ、トマト、とうもろこしとかを自家栽培していて、普通に取りに行ってました。実家の畑は「台所に足りないものだけ作る」っていうスタイルだったので、とにかく野菜が豊富でしたね。

−−普段、お店ではどの程度かぼちゃをお使いになってますか?

高橋:普段はそれほど使う頻度が多い食材ではないですが、季節のときには使いますね。

−−お店で提供するカボチャ料理にはどういったものが?

高橋:基本的に蒸し煮にして味を染み込ませ、更にそれを天ぷらにすることが多いですね。あとはすり流しに使うこともします。

−−ご実家でお野菜を作っているということで、かぼちゃにも産地や作り手に対するこだわりはお持ちですか?

高橋:産地に対するこだわりというよりも、親父が作る栗かぼちゃが旨いなって思ってました。煮崩れしやすい身質ですが、ちゃんと熟成していたこともあってその味が基準になってます。『店で使った後にその種を送ってくれ』って言われた時には、洗って乾燥させて袋詰めしたりも(笑)。

−−雪っ娘を触ってみての第一印象は?

高橋:パッと触った感じは、表皮が観賞用のかぼちゃみたいな硬さだと思ったんですが、包丁を入れると思いのほかスッと入るんだなと。見た目とのギャップに驚きました。

−−保存性を高めるために皮を硬くしているのですが、この点は料理人のお二方にとってはどのようにお感じですか?

高橋:調理ということで考えると、家庭で万能包丁を使う方が、皮を剥いたりカットするのは少し大変でしょうから、家庭への普及ということを考えると、皮が剥かれて状態でスーパーで販売されていると使い勝手がいいと思います。

あと、蒸して真空パックにした雪っ娘が冷凍状態になっていれば、飲食店向けの商材としても売れると思うんです。こと商品開発の視点で考えれば家庭用・業務用といった、どのターゲットを目指して開発するかが重要だと感じます。

猿渡:私も皮は剥いて調理しますが、やはり硬さがあるので家庭で女性が一人で調理するには難しいと思うんです。なので丸一個をカットするんじゃなくて、最低でもハーフカットになっていると、もっと扱い易いのでは?と思いますね。

−−以前、猿渡さんから「いい意味で糖度が高すぎないから使い勝手がある」という印象を伺いましたが、高橋さんは味について、どのような印象をお持ちになられましたか?

高橋:私も同じ印象です。甘すぎることなく食感がいいので、色々な食材との相性がいいと思ったんです。甘すぎると単体でそれを活かしたメイン料理という形でしか調理できないのですが、このかぼちゃの場合は、特性を活かす意味でも「縁の下の力持ち」という考え方で扱うと色々な料理の中で長所が発揮されると思います。

例えば、天ぷらの場合は甘味が強いかぼちゃを好む人が多いので、むしろ素揚げしてカリッとした食感を味わうとか、スライスしてサラダに使うときに「これ、あったほうがいいよね」っていうほうが、このかぼちゃを使った料理のスタイルとしていいんじゃないかなと。他の食材を引き立たせる「メイン食材×いいたて雪っ娘」っていう使われ方を通じて、「使い勝手いいかぼちゃだなぁ」と思わせる存在感を放つ役割がいいなと。

甘味が強いかぼちゃは、もう世の中に一杯ありすぎて、そこはもう飽和状態だと感じています。そこであえて競争するんじゃなく、違う切り口で他の料理を引き立てるほうが、このかぼちゃの特性が活きると感じます。

【チーズと山椒の相性が抜群!高橋さんが作る雪っ娘の長所を引き出す一品・釜焚きごはん】

包丁で雪っ娘の皮を剥き、2センチほどの厚さにスライスする髙橋さん。そこに取り出したのは大きな土鍋。お米、出汁、かぼちゃ、タレッジョチーズ、山椒の実、そして油揚げを入れて火にかけること約20分。できあがったのは釜焚きごはんでした。

猿渡:これ、山椒の刺激が効いてて面白いですね!

高橋:これがないと、口に入る時の香りが物足りないなって思ったんです。タレッジョのクセと実山椒のクセが掛け合わさると、不思議なバランスが取れるんです。

猿渡:あと、干しダラか何か…タンパク質的なもの入ってるの?っていう感じもあって。

高橋:実は油揚げを全体に散るように加えています。大きいと口に残るのでなるべく細かくするのがポイントです。あと油分を回すという意味もあります。

猿渡:いやぁ…これはまいった!!

−−かぼちゃにタレッジョチーズを合わせた理由は?

高橋最初、かぼちゃのネットリ感とチーズのネットリ感が合うと思ってやってみたら、おいしかったんです。前にチーズと山椒の炊き込みご飯を作ったことがあって、「そういえば、カボチャで釜焚きごはんを作った時にうまかったな」って。じゃぁ、この組み合わせにしようと。

猿渡:タレッジョは香りが強いんですが、これは面白い組み合わせですね。

高橋:あと、色々試した中で最後に木の芽と一緒に食べることで、山椒の香りとの親和性の高さを感じました。これだと自宅の炊飯ジャーでも比較的簡単に作れるかなって。チーズでしたらタレッジョに限らず、何でもいけると思います。

猿渡:確かに。家で食べる上にはお店ほどにチーズにこだわる必要はないと思いますが、家でもこだわって作りたいという人であれば、タレッジョを使うほうがバランスがいいですね。

高橋:炊き上がった時にこのチーズ独特の香りが強いかなと思ったけど、そんなことがなくて。蒸らしているうちに落ち着いて。で、口の中に入れても後から一瞬香りが戻ってくるんですが、そのタイミングで山椒の痺れがアクセントとして入ってくる。

猿渡:グルメマンガのネタにできそうな構成ですよね(笑)。油揚げは釜焚きの時にはいつも使ってるんですか?

高橋:うちの釜炊きには必ず入れてます。油の旨味が見えないところであったほうがいいなって。5ミリ幅だとちょっとうるさくて、細かいと「何か入ってるなぁ・・・」と。

−−チーズを含めて、乳製品と合わせる場合には、かぼちゃの甘さが強すぎるとよくないものですか?

高橋:甘すぎると気持ち悪いと思うんです。なので、このぐらいの甘さ加減のほうがいいなと。

猿渡:あと、あまり甘いと食べているうちに飽きちゃいますよね。

【主役以上の存在感を放つ脇役としての雪っ娘】

−−こうした「ごはん×かぼちゃ」といった組み合わせで使うのではなく、かぼちゃ単体を料理の主役に据えるのは難しいのでしょうか?

猿渡:そうだね…あえて考えすぎて難しくしちゃうことってあるよね。冷蔵庫を開けたら雪っ娘と別の素材があって、その時の思いつきでパッと作ったほうが美味しいんじゃないかと。

あたり前の話だけど、同じ時期に旬を迎える素材同士が出会ったほうがよくて、突拍子もない組み合わせは難しい。(2月の)今どきの時期に出回るのは輸入物のかぼちゃだけど、それを茹でると見た目の景色も違うと感じます。で、輸入物に比べて雪っ娘は色が良くて硬くて崩れないという。

高橋:この料理を試作するときに酒蒸しにしたんです。で、ちょっと塩を馴染ませて混ざるぐらいのお酒を注いで蒸して冷蔵庫で冷やしたものを、お造りのツマにしてみたんです。甘くなくて食感もあるから。そうしたら、お客さんが興味を持ってくれましたね。色が綺麗なので、そういった使い方も悪くないかなぁと。

猿渡:なんか、そういったポジションで売り出しているかぼちゃって少ないですよね。カボチャスープみたいにメインに据えたものばかりで。今回みたいな使い方のほうが面白いと思うんです。じゃがいもと違ってカボチャをたくさん食べるシーンは少ないので、冷蔵庫に1/4ぐらいの大根が欠かさず入っているようなボジションが、理想の一つだと思います。そうして何回か使っているうちに「つい買っちゃうんだよね」っていう流れがいいなぁと。それを多くの料理人が思ってくれるのが一番。

−−猿渡さんも、主役のポジションではなく雪っ娘を糅飯で使ってますからね。

猿渡:自分もそんなに大量に使う素材じゃないんですが、ある時に他のかぼちゃを使うと「あれ?こんなに色が違うのか」って思います。

高橋このかぼちゃ、あとサラダも面白いのかなって。毎年何かしら使いたいなって思わせますね。素揚げにしてドレッシングと合わせたり、あと猿渡さんがイベントでやっていた千切りも気になるのでやってみようと。そんなに傷まない点も含めて、雪っ娘っていいなって思います。

進行/撮影/執筆:坂本貴秀(Local-Fooddesign

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【店舗情報】
初代割烹高橋
住所:〒151-0064 東京都渋谷区上原2-48-11ハニハラビルB1
電話番号:03-6407-0565
営業時間:18:00-23:30(L.O.22:30予定)/昼営業は完全予約制
定休日:月曜日
ウェブサイト:http://takahashi104.com/
facebook:https://www.facebook.com/toyo.takahashi104/
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いいたて雪っ娘通信

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白く輝く薄皮に包まれた、艷やかで色濃い黄色の果肉。ほっくりした食感から生まれる、やさしく濃厚な甘さ。 福島県飯舘村で生まれ、多くの方の手によって大切に育まれてきたカボチャ「いいたて雪っ娘」。 いいたて雪っ娘通信では、美味しさの秘密や成長記録、加工品やイベントの情報など、いいたて雪っ娘に関する物語やお知らせをお伝えします。

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